第4回「広がれ!こども食堂の輪!」推進会議 開催

2020.03.10

2020年3月9日(月)14時より、東京・渋谷区にて第4回「広がれ、こども食堂の輪!」推進会議が開催されました。

この日は、児童館・母子生活支援施設・子育てひろば・プレーパークから全国組織の連絡会関係者の他、各地で子どもの居場所のネットワーク活動に取組む社協関係者など、総勢18名が参加しました。

報告事項では、東海地方で開催された「食でつながるフェスタ」の実施について共有しました(三重・愛知・岐阜)。 多様な団体、個人、行政、企業が出席し、学び合い新たな関係性が創出でき、参加者の満足度が高いフォーラムが開催できました。 これを機会に、三県の地域活動団体や行政などがつながるきかっけとなり、 子どもの居場所を継続的に運営するための支援体制の素地ができたことが報告されました。

続いて、推進会議事務局である全国食支援活動協力会が、休眠預金等活用法に基づく資金分配団「こども食堂サポート機能設置事業」の進捗状況にてついて報告しました。

このたびの「新型コロナウイルス発生に伴うこども食堂の活動支援」として「こども食堂サポートセンター」はヤフーネット募金を実施したり https://donation.yahoo.co.jp/detail/5211003 、企業(キューピー他)からの寄贈品を各地のサポートセンター・ネットワーク・中間支援を通じて全国の活動団体へ届けます。

事例報告では、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会 理事 高橋利道さんより「学校ムリでもここにあるキャンペーン」についてお話しを聞きました。 https://cocoaru.org/

始業式が始まる9月1日になると自殺者が増えることから、学校や家庭以外でも、安心できる場所があるキャンペーンを2019年8月19日~9月13日まで行いました。今現在、日本では不登校のお子さんが33万人おり、10人に1人が不登校となっています。10代の死因原因も1位が自殺となっています。「死ぬほど辛いなら逃げていい。」と言うけれど、相談する場所や居場所がない現状で大人は何ができるのかという想いで、今回初めての試みでした。日本地図に無料開放の場所が分かるように示したのですが、最終的には170箇所以上の居場所が手を挙げてくれました。ですが課題として、ネットに繋がれる子どもはよいが、情報がない当事者の子ども達へどうやって情報を届ければいいのか。来年以降はコンビニエンスストアーにポスターを貼らしていただいたり、方法を考えていきたいです。また来年度の取組みとして「社会に問い直していくメッセージをどう伝えていくのか。」などの課題があります。こども食堂さんにもぜひ協力してほしいです。

続いて公益社団法人ユニバーサル志縁センター 専務理事 池本修悟さんより、施設や里親の下で育った若者たちをサポートする「 若者おうえん基金」についてお話しを聞きました。 https://wakamono-support.net/

今現在日本での虐待通報件数は13万件ともいわれています。こうした子ども達の多くは児童養護施設に入り退所した後、自立援助ホームに入り援助を受けますが、多くは「進学率が低い、帰る家がない、相談しづらい、進学を諦めてしまう、進学しても中退したり、就労しても辞めてしまう。」といった困難な状況です。日本では、こういった「社会的養護」と呼ばれる公的な支援の元で育った、子ども・若者達を支援する公的な機関がまだありません。こうした支援は、心ある人たちの「持ち出し」の資金と情熱で成り立っているのが現状です。そんな若者たちを応援する基金を立ち上げました。集まったお金の使途は、一対一で継続的に支援している人に対して伴走支援を行ったり、全国の支援に携わるさまざまな団体などに助成金を給付して就労・キャリア支援などのアフターケア事業を行うための支援も行っています。今回は、全国に700万人の組合員が活動している連合の「ゆにふぁん」とタイアップし、全国どこでも、若者の自立を支援できる体制を構築していきたいと考えています。ご協力をお願いいたします。

最後に、社会福祉法人福岡母子福祉協会 母子支援施設 百道寮 施設長 大神嘉さんより母子生活支援施設における食事・居場所支援についてお話しいただきました。

母子支援施設には、一般的にDVで入所された親子が多いと思われていますが、実際には生活困窮者・外国籍・精神疾患・病気・妊婦の方も多いです。当施設では「MEP」を目的にしています。M→ももち E→えがお P→プロジェクトです。1.「安心して生活できる場」2.「世帯単位行動」の実施をしています。この目標をより具体化して支援しています。「えがおプロジェクト」「ももちカフェ」「ももち食堂」「ももち親子食堂」を実施しています。

一つの家族に対して職員が担当する担当制になっています。「担当者だから見えていることがある。」職員にも援助としてのモニタリング力を鍛えてもらいたいと考えています。行事でこまめに関係を構築していくと、職員にお母さんから贈り物をいただいたエピソードもあります。

「ももち食堂」を実施することで、朝食を食べる習慣がついたり、子ども達から職員への挨拶ができるようになりました。「ももちカフェ」は自己肯定感が低い子ども達が調理して職員にふるまい「ありがとう。」言ってもらうことで自己肯定感の向上につながります。「ももち親子食堂」は普段お母さんは外では仕事で忙しく、家では家事や下の子の世話に追われてゆっくり食事ができないために、たまには親子団欒の時間を楽しんでもらいたい、という想いで始まりました。お母さん達からの評判はとてもよいです。このような食の提供の中心になってくれているのは調理師さんです。

不登校の子ども達でも、居場所や興味を無くしてもらいたくないという想いから施設ではクラブ活動をつくりました。低学年:むかしあそび 中学年:マジッククラブ 高学年:サイエンスクラブ クラブにくれば友達にも会えます。

施設では学習支援と親からの相談を受け付けていますが、これからは、更に地域交流を図ったり、ほかの団体と連携しながら発信していきたいと思っています。

委員長の山崎美貴子氏(東京ボランティア・市民活動センター所長)より、「突然のコロナの流行で、学校へ行かれない子ども達と親御さんもお昼の用意や居場所の確保が大変ですが、児童養護施設や児童館の職員は、もともと配置数が少ないので大変な状況になっている。」というコメントがありました。

こうした先行きが不安な情勢ですが、子ども支援に関わるあらゆる機関が横断的に情報を共有し協力して支援を実行していければと考えています。