第 19 回 「広がれ、こども食堂の輪!推進会議」開催

2023.02.24

 

2023年2月23日、第 19 回 「広がれ、こども食堂の輪!推進会議」を開催しました。

こども食堂が安定的に・持続可能な形で広がることを目指し、子ども支援団体が分野を超えて情報交換や協議・連携できることを目的に、子ども支援に関わる多様なセクターから活動者、支援者、専門家が参加して開催をしています。

 新年明けてから初回、また令和4年度内ラストの「広がれ、こども食堂の輪!推進会議」の開催でした。寒さがこたえる季節ですが、お住まいの地域によっては日々大雪に見舞われ大変な思いをされている方もいらっしゃるかと思います。新型コロナウィルスの感染対策規制も緩和され、より人々の交流が増えてきた頃でしょうか。子どもたちが安心安全に日々生活を送れるよう、多様な活動を支援団体の皆さまと共に我々も日々精進してまいります。

 第19回目の「広がれ、こども食堂の輪!推進会議」では、2名の方にオンラインでご登壇いただきました。

  • 認定特定非営利活動法人 Learning for All 代表理事 李 炯植 さん
  • 一般社団法人 つなぐ子ども未来     代表理事 安藤 綾乃 さん

 支援を必要とされている方の気持ちに寄り添い、ボランティアがより学びを得られ、利用者がより生活しやすくなる新しい仕組み作りのご支援をされているお話をご紹介して頂きました。

 お忙しい中ご登壇頂き、感謝申し上げます。

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【開催日時】2月23日(月)14時~16時

【会場】オンライン

【会議内容】
1 開会、委員長挨拶
2 事例報告
3 2022年度「広がれ、こども食堂の輪!」推進会議の実施状況について
4 こども食堂等居場所づくり支援(一般社団法人全国食支援活動協力会)の活動について共有)
参加者からの自己紹介・近況報告


2 事例報告①  講師:認定特定非営利活動法人 Learning for All 代表理事 李 炯植 様

・2010年より学習・居場所支援をメインに子どもの貧困問題の解決に努める。大人たちのネットワークを作り、子どもの成長暖気に合わせ包括的な支援の展開を行っている。葛飾区、板橋区、埼玉県戸田市、茨城県つくば市、兵庫県尼崎市に拠点を置く。
・生活保護やネグレクト、ヤングケアラー等の複合的な課題を抱える子どもに対して解決策を考えている。21歳の時に支援していた中3の子が、夏休み明けがりがりになっており、衝撃を受けた。学習支援だけでは食事支援ができず、経済的背景を考慮して支援をしなければと思い、6~18歳までの子どもを包括的に支援している。
・支援では3つのアプローチを大切にしている。①ひとりひとりに支援を届ける②LFAのノウハウを他団体に共有する等仕組みを拡げる③政策提言をしていき制度改革を狙う。本日は①をメインに話をしていきたい。子どもたちのニーズと地域の状況に合わせた支援を届けている。行政との連携を大切にし、学校の先生と話していく中で支援拠点を開いている。 小中学生向けの居場所拠点では毎食、夕食も提供できるよう、悩み相談、歯磨き指導や入浴もできるように週5で開いている。中高生の居場所は不登校の子も多く、彼らが思い思いに活動できるよう、安心安全に自己肯定感を育める場所になるようにしている。
・学習支援では学校内、公民館に無料学習塾を作り、少人数の個別支援をしている。ボランティアとスタッフの育成に特徴があり、学生ボランティア向けに3ヶ月間の研修期間がある。虐待や学習障害等ある子どもたちの対応等を学び、支援活動終了後はボランティアの成長にフォーカスする。ボランティア期間にどんな子たちに出会い、その経験をどういかしていくか、自分の学びに変えてもらう。大学生にとっても良い経験にしてもらいたい。
・研修はe-learningにしている。理論を使ってケースワークをしていく研修体系にし、支援者が最低限持っておくべきものを提供。実施している子ども食堂は登録している子ども向け限定と地域に開けたものと2タイプある。保護者支援はLINEを用いるか、対面で行っている。地域全体で支えていくことが必要、自助公助ももちろん大切だが、共助を促進していくことが必要。行政と共に地域のあり方を考えたり、昔からの自治会や町会とのつながりを大切にしている。 
例)埼玉県戸田市の拠点ではお寺で肝試し、干し柿作り、出張プレーパーク(キッチンカーの出張等)等の体験活動を子どもに提供している。 拠点だけでやっていたら地域での体験はできない。食や体験の支援は地域の方が携わりやすい。
・フォーマルな連携では地域ネットワークを使ってどう子どもにアウトリーチをしていくかを考えている。子どもの情報をたくさん持っている先生に子ども食堂に繋げてもらうのが一番だが、子ども食堂等を把握していないことが多い。個人情報に注意しながら情報共有をしている。先生のチラシ共有は可能なので連携している。
・事業報告を積極的に行い「地域共同型子ども包括支援」の仕組みを拡げている。e-learningを団体に安価で教材提供しているが、協働で研修をした方が学びも多い。ナレッジシェアサイト「子ども支援ナビ」では子ども支援現場あるあるを記事にしている。

事例報告② 講師:一般社団法人 つなぐ子ども未来 代表理事 安藤 綾乃 様

・生活困難家庭を支援に繋げる公共冷蔵庫「みんなの冷蔵庫」を作った
・スキームを作る際、頻回にフードパントリーを行う中どういう風に問題解決できるか問題意識として持っていた。活動をしながらフードパントリーを利用している人はどんな人か、2022年にアンケート調査を実施し344家庭より回答を得られた。コロナ禍が3年目になり、深刻化している切実な声を聞き、フードパントリーとしての役割や寄り添える支援を考えた。アンケート結果では、ある地域では孤立した育児をしている方が目立った。遠方でフードパントリーを利用したい方にアウトリーチをしなければいけなかったが、マンパワーが足りず2,3件しかできず継続が難しかった。多くの方が望んでいる食糧支援をどのようにするか、海外のコミュニティフリッジをヒントにして新しいインフラ「みんなのれいぞうこ」を生み出した。社会と繋がることやSOSを出し安くすることを目的にし、高校生で子ども食堂に行きづらい、利用者として見られたくない気持ちに寄り添えた仕組みを作り、食料支援の窓口になれたら、と考えた。
・公共冷蔵庫の理解を広めるため 困窮者支援は打ち出さないように丁寧な説明を心掛けて情報発信を行っている。トライアルの形から活用している。冷凍品も入るのでこの形を気に入っている。概要や利用方法の丁寧な説明の発信をし、利用者とのやりとりや申込はGoogle form、LINEで行っている。厚労省の補助事業として、利用する人の困難状況の証明はないが、利用する都度家庭状況のアンケートを取りながら進めている。 
・福祉情報を持っているところ、アクセスが抜群のところに8台冷蔵庫を設置している。「みんなのれいぞうこ」はつなぐハウス子ども食堂よりも食品の利用割合を多く占め、月毎に増加し今後も増加予定。
・均等に渡すことを心掛けているが、食品配布の優先順位はアンケートの利用者の声に応じて決めている。利用アンケートでは満足度100%。非対面・時間の利便性なので満足度が高いのだろう。お腹いっぱい食べさせてあげることができる回数が増えた。
・繋がりを作っていていつでも「助けて」と言える関係にしていけたら良い。みんなの願いを考えるプランがあり、より多くの食料をお届けするため支援者への報告強化・入荷経路の拡大をし、12月より制服や生活品リユース窓口をオンライン開催し遠方の方から好評をもらっている。


3  2022年度「広がれ、こども食堂の輪!」推進会議の実施状況について

1)推進会議(都内開催)は年4回実施。第1回:5/26 第2回:8/19 第3回:11/30 第4回:2/13
2)食でつながるフェスタは3地域での開催の他、東京での全国集会を実施。  
直近の開催実績:青森(2/3)
休眠預金での実施予定:山口(2/10)、北海道(3/5)、鳥取(3/11)、那覇(3/9予定)


4 こども食堂等居場所づくり支援(一般社団法人全国食支援活動協力会)の活動について共有)

1)2023年度の活動計画について
1.「広がれ、こども食堂の輪!推進会議」の開催
 事業進捗状況の共有・協議、先駆事例の共有・伝播を年4回程度の開催予定
2.食でつながるフェスタ開催・研修等を通じたネットワーク形成支援
 ゆるやかな居場所のネットワーク形成を図り、全国から2か所程度で開催予定
3.子どもの居場所づくりのための企業向けセミナーの開催
 経済界からの支援ルート強化及び食の物流の仕組み作り、協働プラットフォームの構築を目指し年2回程度開催予定
4.その他、各種企業からの協賛・支援獲得・情報ツールとしてのホームページ運営
 応援者獲得のためにHPの運用

2)餃子の王将フードサービス様「冬休みお子様弁当寄贈」
2022年12月26日∼2023年1月16日冬休みの子どもに約9万食が提供された。参画団体数約1100団体、実施店舗数は約380店舗。

3)中間支援シンポジウム「居場所からはじめる地域共生社会実現に向けて」開催
 子ども若者支援における中間支援組織の役割・意義について、先駆的団体の講義を通して理解を深め、行政・自治体との関わりにおける課題共有を行う。

4)令和4年度厚生労働省補助事業「ひとり親家庭等子どもの食事等支援事業」
 子どもの貧困や孤独・孤立への緊急的な支援を行うことを目的に子ども食堂、宅食、フードパントリー等を実施する事業者に対する支援(資金助成・食品提供)を中間支援法人として実施する。

5)東北ロジハブ説明会開催について
 東北エリアでのMOWLS推進に向けて宮城/秋田/福島/青森の行政・社協・団体による連携事例報告を実施予定


 委員長挨拶


5 参加者から自己紹介・近況報告


6 次回開催の日程調整、事務連絡、閉会

次回開催:5月15日(月)14時~